食品安全基本法
(平成十五年五月二十三日法律第四十八号)
【 改正履歴等一覧 】
最終改正:平成二一年六月五日法律第四九号
第一章 総則(第一条―第十条)
第二章 施策の策定に係る基本的な方針(第十一条―第二十一条)
第三章 食品安全委員会(第二十二条―第三十八条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、科学技術の発展、国際化の進展その他の国民の食生活を取り巻く環境の変化に適確に対応することの緊要性にかんがみ、食品の安全性の確保に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体及び食品関連事業者の責務並びに消費者の役割を明らかにするとともに、施策の策定に係る基本的な方針を定めることにより、食品の安全性の確保に関する施策を総合的に推進
することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「食品」とは、すべての飲食物(薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)に規定する医薬品及び医薬部外品を除く。)をいう。 (食品の安全性の確保のための措置を講ずるに当たっての基本的認識) 第三条 食品の安全性の確保は、このために必要な措置が国民の健康の保護が最も重要であるという基本的認識の下に講じられることにより、行われなけれ
ばならない。
(食品供給行程の各段階における適切な措置)
第四条 農林水産物の生産から食品の販売に至る一連の国の内外における食品
供給の行程(以下「食品供給行程」という。)におけるあらゆる要素が食品の安全性に影響を及ぼすおそれがあることにかんがみ、食品の安全性の確保は、このために必要な措置が食品供給行程の各段階において適切に講じられるこ
とにより、行われなければならない。 (国民の健康への悪影響の未然防止)
第五条 食品の安全性の確保は、このために必要な措置が食品の安全性の確保に関する国際的動向及び国民の意見に十分配慮しつつ科学的知見に基づいて講じられることによって、食品を摂取することによる国民の健康への悪影響が未然に防止されるようにすることを旨として、行われなければならない。
(国の責務)
第六条 国は、前三条に定める食品の安全性の確保についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、食品の安全性の確保に関する施策を総合
的に策定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第七条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、食品の安全性の確保に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的経済的社
会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(食品関連事業者の責務)
第八条 肥料、農薬、飼料、飼料添加物、動物用の医薬品その他食品の安全性に影響を及ぼすおそれがある農林漁業の生産資材、食品(その原料又は材料として使用される農林水産物を含む。)若しくは添加物(食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第四条第二項に規定する添加物をいう。)又は器具(同条第四項に規定する器具をいう。)若しくは容器包装(同条第五項に規定する容器包装をいう。)の生産、輸入又は販売その他の事業活動を行う事業者(以下「食品関連事業者」という。)は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たって、自らが食品の安全性の確保について第一義的責任を有していることを認識して、食品の安全性を確保するために必要な措置を食品供給行
程の各段階において適切に講ずる責務を有する。
2 前項に定めるもののほか、食品関連事業者は、基本理念にのっとり、その
事業活動を行うに当たっては、その事業活動に係る食品その他の物に関する正
確かつ適切な情報の提供に努めなければならない。
3 前二項に定めるもののほか、食品関連事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、国又は地方公共団体が実施する食品の安全性の確保に関す
る施策に協力する責務を有する。
(消費者の役割)
第九条 消費者は、食品の安全性の確保に関する知識と理解を深めるとともに、食品の安全性の確保に関する施策について意見を表明するように努めること
によって、食品の安全性の確保に積極的な役割を果たすものとする。
(法制上の措置等)
第十条 政府は、食品の安全性の確保に関する施策を実施するため必要な法制
上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。
第二章 施策の策定に係る基本的な方針
(食品健康影響評価の実施)
第十一条 食品の安全性の確保に関する施策の策定に当たっては、人の健康に悪影響を及ぼすおそれがある生物学的、化学的若しくは物理的な要因又は状態であって、食品に含まれ、又は食品が置かれるおそれがあるものが当該食品が摂取されることにより人の健康に及ぼす影響についての評価(以下「食品健康影響評価」という。)が施策ごとに行われなければならない。ただし、次に掲
げる場合は、この限りでない。
一 当該施策の内容からみて食品健康影響評価を行うことが明らかに必要でな
いとき。
二 人の健康に及ぼす悪影響の内容及び程度が明らかであるとき。 三 人の健康に悪影響が及ぶことを防止し、又は抑制するため緊急を要する場
合で、あらかじめ食品健康影響評価を行ういとまがないとき。
2 前項第三号に掲げる場合においては、事後において、遅滞なく、食品健康
影響評価が行われなければならない。
3 前二項の食品健康影響評価は、その時点において到達されている水準の科
学的知見に基づいて、客観的かつ中立公正に行われなければならない。
(国民の食生活の状況等を考慮し、食品健康影響評価の結果に基づいた施策
の策定)
第十二条 食品の安全性の確保に関する施策の策定に当たっては、食品を摂取することにより人の健康に悪影響が及ぶことを防止し、及び抑制するため、国民の食生活の状況その他の事情を考慮するとともに、前条第一項又は第二項の規定により食品健康影響評価が行われたときは、その結果に基づいて、これが
行われなければならない。 (情報及び意見の交換の促進)
第十三条 食品の安全性の確保に関する施策の策定に当たっては、当該施策の策定に国民の意見を反映し、並びにその過程の公正性及び透明性を確保するため、当該施策に関する情報の提供、当該施策について意見を述べる機会の付与その他の関係者相互間の情報及び意見の交換の促進を図るために必要な措置
が講じられなければならない。
(緊急の事態への対処等に関する体制の整備等)
第十四条 食品の安全性の確保に関する施策の策定に当たっては、食品を摂取することにより人の健康に係る重大な被害が生ずることを防止するため、当該被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急の事態への対処及び当該事態の発生の防止に関する体制の整備その他の必要な措置が講じられなければならない。
(関係行政機関の相互の密接な連携)
第十五条 食品の安全性の確保に関する施策の策定に当たっては、食品の安全性の確保のために必要な措置が食品供給行程の各段階において適切に講じられるようにするため、関係行政機関の相互の密接な連携の下に、これが行われ
なければならない。 (試験研究の体制の整備等)
第十六条 食品の安全性の確保に関する施策の策定に当たっては、科学的知見の充実に努めることが食品の安全性の確保上重要であることにかんがみ、試験研究の体制の整備、研究開発の推進及びその成果の普及、研究者の養成その他
の必要な措置が講じられなければならない。 (国の内外の情報の収集、整理及び活用等)
第十七条 食品の安全性の確保に関する施策の策定に当たっては、国民の食生活を取り巻く環境の変化に即応して食品の安全性の確保のために必要な措置の適切かつ有効な実施を図るため、食品の安全性の確保に関する国の内外の情報の収集、整理及び活用その他の必要な措置が講じられなければならない。
(表示制度の適切な運用の確保等)
第十八条 食品の安全性の確保に関する施策の策定に当たっては、食品の表示が食品の安全性の確保に関し重要な役割を果たしていることにかんがみ、食品の表示の制度の適切な運用の確保その他食品に関する情報を正確に伝達する
ために必要な措置が講じられなければならない。 (食品の安全性の確保に関する教育、学習等)
第十九条 食品の安全性の確保に関する施策の策定に当たっては、食品の安全性の確保に関する教育及び学習の振興並びに食品の安全性の確保に関する広報活動の充実により国民が食品の安全性の確保に関する知識と理解を深める
ために必要な措置が講じられなければならない。
(環境に及ぼす影響の配慮)
第二十条 食品の安全性の確保に関する施策の策定に当たっては、当該施策が
環境に及ぼす影響について配慮して、これが行われなければならない。
(措置の実施に関する基本的事項の決定及び公表)
第二十一条 政府は、第十一条から前条までの規定により講じられる措置につき、それらの実施に関する基本的事項(以下「基本的事項」という。)を定め
なければならない。
2 内閣総理大臣は、食品安全委員会及び消費者委員会の意見を聴いて、基本
的事項の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
3 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、
基本的事項を公表しなければならない。
4 前二項の規定は、基本的事項の変更について準用する。
第三章 食品安全委員会
(設置)
第二十二条 内閣府に、食品安全委員会(以下「委員会」という。)を置く。
日本食品安全基本法(原文)
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